監修者の言葉
オランダを訪れる人はだれしも、アムステルダムなどの都市を縦横無尽に走る運河や、郊外の農村地帯を流れる水路の織りなす風景に見とれたことがあるのではないでしょうか。大河川の河口地帯に位置し、歴史的に長きにわたって水と闘い、水を治め、そして水を活用してきたオランダの歴史が、いまも目の前の風景に広がっているのです。そして17世紀のオランダは、海を越えて世界に羽ばたき、海洋帝国として覇を唱えました。
そのオランダは、水を通じて日本ともつながっています。オランダ船が長崎・出島に来航した江戸時代を含め、400年にわたり日蘭は密接な関係を続けてきました。明治日本はオランダの治水技術を取り入れ、国土の開発に努めました。
この本は、日本との関係に留意しながら、オランダの歴史をわかりやすくまとめたものです。今も最先端の改革を進めるグローバルな小国・オランダの歩みを学ぶことは、岐路に立つ現代の日本にとっても、大きな示唆を与えてくれることでしょう。