著者の言葉
おいしいものを食べたいという欲求は万人に共通するものです。おいしく調理するためには調理の技術を知らなければなりませんが、調理技術の習得には、多くの経験と熟練を必要とします。しかし調理の技術を科学的にみると驚くべき合理性を見出すことができます。なぜ、うるち米は炊くのに、もち米は蒸すのか?なぜ、焼き魚は炭火で焼くとおいしいのか? ガス火で魚を焼くときの要点は?
本書は調理を理論的に理解し、調理技術を習得するために書かれた草分け的な著書『調理と理論』(1967年)を出発点として、2011年に改訂した『NEW調理と理論』に新しい食環境の変化(食材料の変化、料理のグローバル化、流通の変化、調理機器や道具の変化など)を盛り込み、修正したものです。調理理論については、国内外の研究成果を引用して解説しています。そして代表的な調理例を和風・洋風・中国風の様式別に豊富に掲載しています。大学教育の食物学習での活用だけでなく、理論的な裏付けのある調理技術の習得を目指す方にぜひ読んでいただきたいと願っています。
(教育学部教授・米田千恵)