Sharonさんの話 後半


=== 大階段で記念撮影、休憩 ===

subject librarianの仕事

ではsubject librarianに入りましょう。

大きな大学図書館のlibrarianは、みんながsubject librarianではないです。subject librarianというのは、ある学問を専攻して、普通は大学院を出て、librarianの修士号を持つと同時にもうひとつの修士号を持つ。私の場合は図書館学の修士号を2つも持っています。4年間も図書館学を勉強してきました。学部のときは東アジア研究を卒業して、それからlibrarianになりたいと思って、カナダのlibrary schoolに留学しました。ただ、日本研究司書、Japanese-study's librarianになりたいとおもったので、カナダでは勉強ができないでしょう?それでカナダのlibrary schoolに入ったと同時に文部省から奨学金をもらって図書館情報大学で2年間研究をして、そこから修士号をとりました。そうすると私の場合は図書館史、日本の図書館の歴史の修士論文を書きましたので、ある程度、学問ができたということですね。修士の論文を書く経験があります。他の人は、例えば・・・subject librarianについている人は普段は何か地域研究、ラテンアメリカ学とか、東ヨーロッパ学とか、言葉、普通誰も話せない言葉に関連しています。あとは音楽、music librarianとか、法学、law librarianとか、普通のlibrarianには入られない内容がsubject librarianです。もちろん科学、science系もそうです。あとphysical、物理学系も全然入られないので、学生へは全然役に立てないから、そういう難しい質問を聞かれたらsubject librarianに回します。

私の仕事は独特で、5つの大学に回って仕事をしています。みんな分担で私の給料払っています。というのは、専門があまりにも狭すぎるから、人を1人おく必要が無いんですよね、近所に5つの大学があり、それぞれの大学には日本研究先生が何人かいます。私の場合には日本語、中国語、韓国語その3つともやっています。各大学図書館のために、収集、目録、reference、ILL、情報リテラシーをやっています。東アジア研究に関することなら、私が全部やります。その代わりに、普通のreferenceに出なくていいし、英語の本の目録を作らなくてもいいです。集中的に東アジア研究の担当をやっています。 それがsubject librarianですよ。集中的に科目と関連する仕事をする。図書室に1人しかいないところや、音楽の図書室とかそういう人たちが普通はsubject librarianです。

(図書館員)その方たちがマスターをとったりして、subjectの勉強をそこで基礎的な勉強をして・・・

2つの方法があります、アメリカ人、カナダ人もそうですけど、北米の人はlibrarianになる前に他の仕事をしてからlibrarianになりたいと思う人が多くいます。学校の平均年齢が30何歳です。学部卒してそれからマスターズに通って、librarianになった人がわずかです。間で子供を育てたり、何か先生をやってからlibrarianになったりとか、それが普通です。特に図書館の場合は、何か経験してからlibrarianになると、referenceには役に立つし、いろんなことに役に立つ。だからもうすでにマスターズを持っている人が大勢いる。それでアメリカの博士課程を持っている大学の場合、博士号を持っているlibrarianも結構います。やっぱり2種類あります。大学の先生になりたかったけれど落ちた人。論文が書き終えなかったか、tenure制度で落ちたか、教壇に立つのが向いていなかったか何かの理由で図書館に回ってきます。Librarianの資格、マスターズを取っていればlibrarianとして雇われますよね。それでだいたいbibliographer、本の選択収集をやります。referenceをやっている人もいるけれど、主に先生方の対応をして収集の仕事をする。ただ、librarianの資格がなければ、博士号を持っていてもstaffの扱いとなります。給料が高校を卒業した人と同じ給料になってしまいます。ただ、そういう人は本が好きで、静かな仕事がしたいから図書館に就職した。うちにも何人かいます。主にラベル貼りとかしています。それで子供を育てているとか、いろいろやっています。

もうひとつ、ここ(配布資料)に書きましたけれど、例えば千葉大学の場合、人数が足りないのでとてもsubject librarianにはできない、そういう場合は、liaison librarian制度を作ればいいです。リエゾン制度の場合は、各学科に図書館員をattachする、そうすると例えば、Aさんを比較文学か英文学のliaison librarianになると、先生方の依頼を聞くとか、質問を答えてreferenceするとか、収集する、先生方が買ってほしいものを受け取るとか、そういうのがliaison librarianの仕事です。subject librarianほど知識がなくていいんですよ、ただ相手するのがliaison librarianの仕事です。だいたい大学図書館の場合は各学科にliaison librarianがついています。そうすると先生方は誰に聞けばいいのかがわかっていますよね。学生にも「Sharonさんに聞けばいいですよ」と紹介してくれます。やっぱり図書館が建物じゃなくて、図書館の我々がその顔ですよね。代表していますので、librarianと親しみやすいようにリエゾン制度ができています。

(教員)そのliaison librarianの場合にはsubject librarianに比べて主題知識を欲しない、という話でしたけれど、やっぱり例えば、学部で文学をやっていた人がいればその人は文学のliaison librarianにという形をとるわけ?

そうそう、あとは興味があれば。美術史に興味がある、でいくつか本を読んでいるとか、その人がやりたいと言い出したらそのリエゾンになります。

(教員)それからそのliaison librarianというような役割を与えられると、その人がtechnical serviceをやっている人なのか、public serviceをやっている人なのかということはまったく関係ないんですか?

それはその図書館によって違いますけれど、特にcollegeの場合は関係ないです。ただtechnical serviceをやっている人は先生との接触に慣れていないのでやりたくないと言い出す人が大勢います。Referenceは慣れているから構わない、というか喜んで引き受けますけれど、その人の個人的なレベルによって違います。主にreference librarianがliaison librarianになります。

(司会)だいたい今、シャロンさんがご用意してくださった資料の2までいきましたかね。ここまでで質問はありますか?聞いてみたいこととか。


仕事をしながら勉強、研究する

アメリカの大学の場合、大学に勤める人なら無料で授業がとれます。日本は違う?

(教員)職員が授業に出るというのは、通常は・・・

(図書館員)勤務時間内は・・・国立大学だと公務員の職務専念義務というのがあって。

義務制度か、勤務時間も決まっていますよね。アメリカの場合は、一週間にうちは37.5時間、隣の私立大学は35時間だけど、それはいつ始めていつ終わるかは個人で決めています。そうすると、いつでも授業に出られます。例えば博士になりたいと思ったら、仕事によって違いますけれど、昼間は授業に出て夜出勤するとか、それももちろん可能です。

(図書館員)それほどフレキシブルにはならないですね、日本は。

(図書館員)ほとんどのlibrarianにフレックスタイムが認められているんですか?この時間にいなきゃいけないとかありますか?

Staffでも子育てに忙しい人は7時から出勤で3時に終わるとか、夜働きたい人が夜の貸出の仕事をするとかカウンターをするとか、わりとフレックスタイムですね。Librarianはもちろんプロフェッショナルだから、先生と同じように好きな時間に仕事しています。

(図書館員)そうすると、自分で仕事の時間を作って、空いた時間に自分の勉強をすると。

(図書館員)例えばlibrarianだったら自分の専門に関係のあるようなものをとるんですか?どんなものをとりに行くんでしょう?

それは勤務時間以内にとるんだったら、課長の許可が必要です。そうすると8時間以内に、1日以内にとる。ただまったく時間外だったらいいですよね。

(図書館員)だいたい関連するsubjectの講義を受けたりするものですか?

そうする人もいます。

(図書館員)でなくても、特に興味のあるもの?

例えばreference librarianをやっていて、どうしても比較文学の博士号もほしい人はそれはprivate時間で、フレキシブルタイムでやります。ただ収集の専門が急にロシア語がやりなさいといわれたら、ロシア語が読めない場合はその勤務時間以内に・・・

(図書館員)つまり仕事に必要な知識を得るわけだから、ということですか?

そうそう。


subject librarianとliaison librarian その1

(教員)subject librarianという発想が、たぶん今のお話だとliaison librarianに近いイメージだと思うんですね。例えばそのliaison librarian場合であっても、その講座とか学科でやっている授業と関連した図書館のプログラムを作ったりとかということはするんですか?

やります。情報リテラシー教育の・・・先生に対するとか、パスファインダーを作るとか、web ページを作るとか、主題についてのwebページを作るとか、そういうこともやっています。

(教員)そうすると大学によっては、subject librarianという肩書きで仕事をしている人と、それからちょっとそこまで専門的に特化されてはいないけれどもliaison librarianとして仕事をしている人とが混在しているケースは・・・?

あります。だいたい普通は混在しています。例えば、reference librarian、で参考業務をやっている人はだいたいジェネラルですよね。なんでも答えられる、一般的な知識を持っています。それが普通です。目録作業もそうです、何が入っても一応目録が作れます。ただ、一部の分野はそれが難しいですよね。法学に関するreferenceは普通の人にやってもらいたくない、難しいですよね。医学もそうですよね、先生方に対して質問を答えるなら、ある程度は知識が必要ですよね。あと音楽、音楽だってそうですよね。スコアか他の譜面かなど、楽典の知識が必要です。だからこのわずかのがsubject librarianが必要です。あとは普通のacademic librarian、referenceかtechnical servicesです。

(教員)で、その場合も主としてreference librarianがliaison librarianになる。

そうそう。だからリエゾンだったら、例えば政治学科にリエゾンするとか、法学科に、経済学科にとかいくつかの学科に属しています。


資料の購入

(図書館員)先ほどのliaison librarianの仕事で、購読の依頼とか雑誌の契約とか、事務的な仕事があるんですけど、これはその学科の先生のためにやるということなんですか?

これはね、発注するんじゃないけど、先生がこれ買ってくださいと頼みに行きますよね。で、買いたくないでしょう。もうすでにあるとか、それを先生に対して説明するのがlibrarianの仕事です。納得してもらうために、何とかしなければならない。雑誌をキャンセルするのは非常にややこしい仕事ですよね。先生方がもしかしたら全然読んでいないけど、先生これからキャンセルしますよって言ったら大騒ぎになるよね。そういう説得がliaison librarianの、特に予算にかかわるものが(教員にとって)知り合いのliaison librarianの仕事になります。

(鈴木さん)予算の質問とか、配布資料にもちょっと入れておきましたけれど・・・

選書の話?

(図書館員)千葉大学で、たぶん千葉大学じゃなくても日本の大学は大部分がそうではないかと思うんですけれども、大学で図書を買う予算というのは、図書館の持っている予算とそれから先生が研究費として配布されたものから自分の必要なものを買って図書館に持ち込んできたもの、それの合計です。それで図書館の予算というのは主として学生が使う本です。ですから千葉大の蔵書っていうのは研究室にあるのが半分で図書館にあるのが半分くらい。それで研究用の図書というのはsubject librarianはいうに及ばず図書館がこれが欲しいというチャンスはほとんどないです。

アメリカの特に州立大学の場合は、研究図書がないですよ。図書費は全部図書館が持っています。図書を買って先生方にも学生にも貸し出す。先生方は研究上のお金を少し持っていますけれど、ほんの少しですよ。あとは科学関係だったらラボを作るお金だけど、例えば文学部の先生であったら研究のためにもらっている金額は、海外に一回行くくらいのお金しかないです。だから同じような問題、研究図書の扱い方の問題はうちには全然ないです。

(図書館員)予算は図書館として持っているわけですよね?それを先生方が買いたい本を全部買っていたら足りないんじゃないかと思うんですが・・・

足りないです。だから先生が頼みに来ます。州立、大きい大学の場合は図書館が予算を持っています。小さい大学、例えばAmherst Collegeだとか隣のSmith Collegeもそうですけど、先生方が予算を握っています。そうすると先生方は自分の買いたい本しか買わないですよね。コレクションには大きい穴が開いていますよね。それはいけないですよね。学生のために買っていれば良いけれど、だいたいずうずうしい先生方はそのために買っていますよね。

(図書館員)それで、先生からこれが欲しいって言われたときに、何を買って何を買わないっていう判断がsubject librarianのお仕事?

そうです。私は私のコレクションをよく知っていますし、先生方の研究も知っているし、大学院がどんな研究をしているかもわかっていますし、授業ではだいたい年の始まりに先生方を訪問しに行きます。先生、今年何を教えてますか?で、そのシラバスくださいという。そこ見て大体どういうことやっているかわかりますので、それに沿って収集方針を決めます。うちは貧乏だから、まず学生の授業で使うものを買います。それからreferenceのための、ILLで貸出さないもの、辞書とか百科事典とかを買います。3番は、先生が長期研究、長く研究するための資料を買います。お金があれば。短期研究だったらILLで済ませる。だいたい(私が)強い人間だから誰も文句言わないね(笑) 若いときは別だけど、今はもうバシッて・・・これでよし、と言ったら先生方はそうですか・・・と。まぁ高いものだったら、予算をよく見て判断します。安いものだったら、ILLで手に入るか買うかどっちかを決めます。

(図書館員)そのsubjectごとというか、いろんな分野がありますよね。それごとに予算ていうのが最初に決まっているのですか?

ついてます。コレクションの副館長が予算をもらって、まずは半分くらいは雑誌に取られます。残りの半分か1/3を図書に使います。学科の人数、これは割と新しいけれど、先生方の人数と専攻する学生の人数で計算して、予算を決めます。そうすると例えば、ドイツ語、誰もドイツ語を勉強していないでしょう。ドイツ語にはあまりお金を与えない。学部学生と院生、両方を計算します。そういう風に予算を組み立てる。

(図書館員)そうするとアメリカの大きな大学では、みんなそのようなやり方で・・・

だと思います。


大学図書館の収入

(図書館員)その他に、予算獲得で個別に、寄付だとか・・・

はい、それも別にあります。例えばお金持ちの人がお金を寄贈しますよね。そのお金を銀行に入れて、その利子を使うということもあるし、それは一般的です。特に古い大学の場合は、OBが寄贈するとか。あとはfriendsですよね、友の会のお金が入ってきます。

(図書館員)友の会は割とポピュラーにどこの大学でも・・・?

友の会がなければならないのです。

(図書館員)その友の会のメンバーは、地域の人たちとか卒業生とか?

両方ですね。

(図書館員)でも学外の、大学の人ではなくて・・・

あ、それは大学ですよね。あとはOBとか、地域の人が・・・図書館を大事にしている人が入るし、お金を寄付します。

(LIC職員)Ohio State Universityでは古い本をlibraryが売って・・・それは一般的なやり方ですか?

それは割と一般的だけど、U Massの場合、本を売ってはいけないのです。州の法律では。だから大学が売ってはいけないので、友の会にやってもらってます。賢いですね、今の大学は(笑)


subject librarianとliaison librarian その2 (選書)

(教員)liaison librarianとsubject librarianの違いってのをもう少し聞かせてもらいたいんですが。例えばそのsubject librarianが教員に対しても選書権とかいろいろな意味での決定権というのを持っている。liaison librarianという場合には、例えばdepertmentの先生がこれを買ってほしいと選書してもってきたときに、それを買うか買わないかを決めるのはliaison librarianの仕事なんですか?それとももっと大きなbudgetの枠の中で選書を担当する図書館員がそれを買うか買わないかというのを決めるんでしょうか?

それは各大学によって違いますけれども、例えばSmith Collegeの場合は教員が予算を握っていますよね。これを買いなさいと言ったら、依頼じゃなくて命令ですよね。そうするとlibrarianは、はいわかりましたって発注の人に渡しています。その場合はliaison librarianはただ窓口になっています。Amherst Collegeの場合は、予算を図書館が持っていますので、liaison librarianは窓口になっているとともに、収集をやっています。liaison librarianが決めます、これを買いますって。大きい金額の場合、$1,000以上のものはたぶん委員会で、librarianの委員会で決めます。

(教員)そうすると大学によってliaison librarianであってもsubject librarianに近い選書の権利を持っているケースもあるし、そうじゃない場合もありうるということですね。そうやって選書ができるできないってのは、そうとう専門知識が要りますよね。

そうなんです。難しいから、専門知識がない場合はどうすれば良いかってこと、特に収集の場合。 書評をよむ、ですよね。書評を読むか、最近ではアプローバルプランといって、収集方針を決めると業者が勝手に方針に従って本を送る。それが最近出てきていて、結局同じような本がいろんな図書館に入っていますよね。それが英語ではヴァニラコレクションと言って、味がないです。そのようなアプローバルプランが一般的になりました。

(教員)日本でいうと見計らいみたいなものですかね。

でも見計らいは返しても良いんでしょう?アメリカの場合は、アプローバルプラン。アプローバルプランを設定するときにたいていの図書館はアウトソーシングでラベル貼りとか目録も同時にやってもらいますので、見計らいじゃないんです。もう買ってしまった、返してはいけないようになっています。

(図書館員)公共図書館のやり方に近いものがありますね。大学というより。

(教員)でもですね、日本の公共図書館の場合も、パッケージを買うんですよね。でも今の話からすると、例えば大学が選書の方針を持っていて、こういう選書の方針でってのを書店と言うかディーラーに渡して、セレクションするのは業者なんですよね。

業者です。例えばうちは日本文学だったら何でもほしい。だけど韓国文学を教えていないので、韓国文学はいらない、そういう風に方針を作っています。あとはハンドブックは買わないとか、教科書は買わないとかいろいろ注文をつけています。

(教員)なので公共図書館でやっているのと、少し性格が違うんですよね。

(図書館員)今度、単科大学の私立大学で書店にお任せっていうところがありますよ。技術系の大学で。

(教員)選定方法も4,5,6は全部買うよみたいな感じだったりしてね。


アメリカのlibrarianの1日

(図書館員)配布資料の質問の中でまだ聞いてないのってありましたっけ。liaison librarianがメインの仕事と兼任で両方やっている・・・?

私の妹もlibrarianです。妹はbusiness librarianで、学部はbusiness schoolを卒業して、それからlibrarianになりました。彼女のメインの仕事がreference librarianで、同時にbusinessの収集選択をして、情報リテラシーは、大学院生に対してはbusinessの情報リテラシーを教えています。それは一般的ですね。私の場合は、私の席がtechnical servicesの方にいます。

subject librarianの一日はどういう仕事しているのかというと、私の場合は皆さんと全然違う仕事をしていますけれど、朝起きて、e-mail読んで、コーヒー飲んで、犬と遊んでから出勤します。たいてい9時か9時半くらいかな、遅くて10時くらい。それから溜まったe-mailとかやって、目録作業をやります。午前中はわりと静かだから、難しい仕事は午前中やります。昼が近づくと、いろんなところから学生や先生が見えたり質問したり、ILLの依頼が届いたりします。特に大学院生がなかなか論文のテーマを決められないので相談に来るとか、先生方が新しい研究始めるので研究はどうしたらいいかとかみんな相談に来ます。それはものすごくありがたいこと。最初はね、ただ問題があるときだけ先生方に会いましたけれど、いまはプロジェクトが始まる前にみんな相談に来ます。それとそのプロジェクトが終わるころに、書誌のチェックとか原稿を見せてもらったりしてます。あとは私の場合は秋学期に書誌学の授業を持っています。文学の先生とコンビで二人で、日本の図書館の使い方とか、目録の使い方をコンビでやっています。週三回。それが午後の仕事になっちゃいます。たいてい仕事が5時半ごろ終わって、うちに帰ります。日本と違って飲みに行ったりは誰もしないです。5時になったらみんなできるだけ早くうちに帰ります。それが一日ですね。ただ私の場合は各大学に回りますので、月水金がU Massで、火曜日がAmherst Collegeとかで、木曜日はSmith Collegeを回ります。だいたい同じような仕事をしています。

教員との連携・・・教員との連携はlibrarianによって全然違いますけど、私の場合はまず、連携を作るために先生方のofficeに行って自己紹介をして、先生方の研究を聞きます。先生は何をやっていますかって。それからコーヒーを飲みに行ったりします。ビールの代わりに。9時から5時まで、喜んでコーヒーを飲みに行くとかお昼を食べに行きますけれど、夜はもうプライベート時間で、仕事しない。このごろ先生方と一緒に発表会に行ったりしています。若いうちにはそうしなかったけれど、このごろはよく先生方と同様に発表会に出ています。よく先生に頼まれて授業にも出ています。時には情報リテラシーの発表と、あとは雑談・・・librarianはこういうことをやっていますよとか、ここに来る直前に、一年生に対して、日本文化を勉強している学生に対して日本のトイレの文化の講演をしました。いろんな人にはいろんな専門がある、これが私の専門ですよ。トイレの文化。学生は・・・教科書でそんなことは勉強できないでしょう?日本に来た人もいるし、行きたい人もいますので、そうとうそういうことに関心がある。そういう講演をしながら、図書館にある資料を紹介します。こういうものありますよとか、これをwebで探したら出てきますよとか、同時に図書館の話もします。そうすると学生がね、図書館に知ってる人がいると聞きやすくなりますよね。その発表が終わってからreferenceの質問が5件も来ました、次の日。ところで先生、こういうことについて知りたいんですが、とか。図書館を出なかったら、こういうきっかけが作れないですからね。私は先生との連携をすごく大事にしています。


大学間のsubject librarianの情報交換

(LIC職員)他の大学のsubject librarianとの協力はありますか?小さな大学だと例えばsubject librarianがいない場合とかあるでしょう。reference librarianだけのそういうグループみたいのはあるんですか?

それはありますね。E-mailで意見交換とか、質問を聞いて答えてもらう、それは一般的ですね。分野によって・・・妹がbusiness librarianのグループに入っていますので、お互いに助け合ったりしています。

アウトソーシングについて

(図書館員)subject librarianとはちょっと関係ないかもしれないですが、アウトソーシングってお話がありましたけれど、そういうアウトソーシングをやっている仕事があるんですか?

アウトソーシングはいろいろの形をとっていますけれど、technical serviceではまずアプローバルプラン、発注がひとつのアウトソーシングになっていますので、そのアプローバルプランと同時に目録、ラベル貼りが入ってきます。それもアウトソーシングになります。目録自体、そのオリジナルカタロギングのアウトソーシングはめったにないです。ただみんな同じ本を買うから、オリジナルカタロギングがもうあまりないですよね。特に英語の資料だったら、レコードがもうすでにOCLCに入っています。それと、reference作業も少しアウトソーシングの対象になっています。というのはね、オンラインのデータベース、ask a librarianを、これはコンソーシアムレベルでやっていますけれど、U Massの場合はBoston library socialのメンバーになっています。17大学のメンバーになっていて、みんな同じask a librarianサービスを使っています。U Massは週4時間の義務があります。みんなの質問に答える。その代わりにあとは任せる。で、昼間は他の大学にやってもらっています。夜からずーっと徹夜、あれは確かにカリフォルニアの公共図書館がやってます。あれもひとつのアウトソーシングになります。


24時間営業、online reference

(図書館員)今のに関係するんですけどね、24時間開館、週5日間。そうすると夜中の3時に学生が図書館に行って、そこでreferenceをすることが可能なんですか?

Referenceデスクは確か夜の10時までやっています。Informationデスク、コンピュータの質問とか一般的な質問は1時までできます。図書館にも喫茶店が今年できましたので、喫茶店も朝の1時までやります。1時から8時まではカウンターのサービスはないです。 ただその代わりにask a librarianのオンラインで質問をすると、すぐ答えられます。

(LIC職員)それはどこかの大学とか図書館のlibrarianがスタンバイしているんですか?

そうそう、ライブでスタンバイしています。

(図書館員)U Massが週4時間ておっしゃってましたけど、いろんな大学で週何時間ずつとかって分担して・・・

カリフォルニアは・・・時差がありますよね、マサチューセッツとカリフォルニア。だからカリフォルニアには、もうマサチューセッツの10時前にはカリフォルニアはいまは6時か・・・ですよね。だから時間帯でやります。

(教員)英語の強みなんですよ。つまり例えばオーストラリアを含んでしまったり組んでしまうと、結構長い時間帯昼間ですよね。

ボストンコンソーシアムは17件だけど、LCがやってるQuestion Pointは24時間世界中使っていますよね。

(図書館員)アメリカは深夜の1時まで、普通に働く時間帯なんですか?

何が普通か答えられないです。夜勤の好きな人はいますよね。

(図書館員)もちろん日本でも24時間開いているところもあれば、夜間の警備会社もあるし、24時間誰かは働いているんですけれども、なんとなく私の感覚でいくと、やはりここの図書館でも例えば9時とかって時間帯までは比較的人がいるけれども、それ以降の時間帯は一般的に・・・

それはねぇ、先生方はいないと思うけれども、学生は結構きます。

(図書館員)ここ(本館)も前に11時まで開けていたときに、初めて図書館を使ったっていう先生の話を聞いて、いつもは閉まってるそうなんですよ。自分の研究が終わって外に出ると図書館は真っ暗なんだけど、たまたまその期間図書館が11時まで開いていたので、外に出たら図書館が開いていたので初めて喜んで使えたという先生がいたんです。もちろんその時間帯に利用があるのはわかるのですが、一般的な需要なのか特殊な需要なのか、ということは・・・

Medicalの場合はみんなそれぞれ違うけれど、U Massは今まで通常時間が朝の7時か8時から夜の11時までが通常時間。それから試験期間になると、1時か2時まで開館します。ただ、やっぱり試験中だと学生がやりたいでしょう?だから24時間運営しているところも結構あります、試験中。

ただ、U Massの場合、この秋からLearning commonsができて、Learning commonsというのは日本にもあると思いますが、共有地というか、U Massの場合、写真がある。これ、秋までは全部参考資料室でした。参考資料、reference booksの8割を書庫に出して、その代わりにコンピュータを入れました。右側にはreference deskがあって、真ん中にはコンピュータのヘルプデスクがあります。コンピュータのヘルプデスクとlibraryのinformation desk、専門のreferenceはやらないでトイレはどこですか?とかコピー機械の使い方とか、それは真ん中の机で答えてもらっています。あとはwriting center、論文の手伝い、学生は論文がなかなか書けないでしょう?その手伝いをするところもあるし、就職の窓口も同じところにあります。それがものすごく人気。コンピュータを入れたとたんに学生に使ってもらえました。工事中でみんないっぺんに入りました。そのコンピュータは図書館の予算ではなくて、コンピューティングセンターがコンピュータを買ってくれました。学長から机とかのお金が出ましたので、すごくPRにもなりました。これができたので、図書館は朝から晩まで満員ですよ。信じられないくらい図書館が活発的になりました。このおかげで24時間運営ができました。

(図書館員)ビル・ゲイツさんがね・・・

そう、ビル・ゲイツさんからお金も出たし、ビル・ゲイツさんがstaffのディナーをおごってくれました(笑)。すっごくいいPRでした。最初は図書館員がどうかなぁ?って心配していた。だって参考資料室を減らすとかね、ただ、結局すごく良いことだった。今まで紙詰まりの仕事とか、referenceに関係ない仕事がいっぱいあったでしょう。このK2-10でその紙詰まりとか、ITスタッフでやってもらってますので、reference librarianはreferenceらしい質問がどんどん来るようになりました。

(司会)一応お約束のお時間になったんですけれども、最後にいくつか・・・?学生さん何か質問は?


複数大学で働くSharonさん

(学生)先生はU Massで仕事をされているんですけれど、officeは各大学に?

そうです、officeというか私は主にtechnical service、目録をやっていますので、目録をする人は自分のofficeを持っていない、たいてい。大きな事務室の中にいます。ただ各大学にはちゃんと机があるし、端末があります。各大学の貸出カードとかも持っています。

(学生)さきほど学生さんとか先生がofficeまで相談に来るってお話だったんですけど、それは先生と話す以外に何か宣伝みたいなことは?

あぁ、いろいろと宣伝しています、確かに。授業にも挨拶に来ています。それとwebページも作りました。それから宣伝ビラ、というか東アジアコレクションに関する情報と名刺を渡しています。あと先生方が学生に、図書館に行きなさい、シャロンさんに会いなさいとか、そういう風に言ってくれていますので。


図書館員のステイタス

(学生)小中学校に興味があるんですけれど、アメリカと日本で図書館員のステイタスが違うことに関して、小中学校の現場においても図書館司書という立場が法律的には一応あるんですけれど兼務している状態で、専門のlibrarianという人がいないんですね。こういったステイタスは小中学校の場合、非常に認められていないという現状があります。小中学校だけでなく日本における図書館員のステイタスを高めるにはどうしたら、どういうところから切り崩したら良いという風にお考えですか?

まず、自分の知識に誇りを持つこと。我々にはいろんな知識、特に図書館に関する知識とか検索の仕方についての知識、先生方が知らないことが私たちがわかるようにしています。もっと自分をアップして、私は先生のためにこういうことができますよ、と自信を持って先生だけじゃなく学生を相手すれば、まずその実力からレベルアップします。日本の場合みんな法律変えてほしいとか、法律を中心にしますので、法律変わったって意味がないですよね。まず自分たちから制度を作り出さないとならないです。それとみなさんどういうわけか、みんな同じような人間だと思い込みますよね。同じ年に生まれた人、みんなの中で順番に上がっていきますよね。実力と関係ないです、あれはやっぱり良くない。特に大学の場合、大学は知識を大事にしています。で図書館員もなるべく知識を大事にしてほしいです。ただまぁ、みんながトップになれないですよね。ひとりが面白い仕事をすれば、誰かがつまらない仕事をしなければならないの。それは事実ですけど、レベルアップするんだったら、まず教育に、いつもね専門書を読んだりして先生と接触したりすると、自然にレベルアップすると思います。それと、サービス、授業も大事だと思うけど、新しい知識を作る必要もあります。Librarianも知識を提供するだけじゃなくて、自分たちで知識を作ることが大事。パスファインダーを作ったり、ハンドブック書いたりして、研究したりすると、先生方に認めてもらうようになると思います。


予算

(図書館員)日本の場合、図書館の予算は大学からもらったり文部科学省からもらったりなんですけれど、州立大学の外部からの寄付っていうのが結構大きいんだと・・・

うまくいけばそうですけれど、U Massの場合は、5年前まで図書費が全部州から出ました。どういうわけか、大学がケチで図書費を払ってくれなかったですよ。70年代になってから、referenceに関する図書費が州から下りてきました。ただ、いくら下りるか毎年その年にならないとわからなかったので、予算が苦労しました。4,5年前には急になくなりました、一銭も。州が「大学が予算を組むべきだ」と言い出して、今年はゼロですと言われました。ゼロでどうしようかな、雑誌を全部キャンセルするのかとか、結局雑誌の分しかもらわなかったです。それが大きなショックだったので、それから大学が予算を組むようになったけれど、図書館だけでなくて大学も、かなり資金に対していろんな会社とかfoundationに対してお金を集めています。それは館長の仕事ですが、subject librarianの仕事にもなっています。例えば日本研究司書の場合は、国際交流基金に対していろいろ願いを出しているし、トヨタ基金とかいろいろあります。

(図書館員)そういったものがあれば頼んで・・・

積極的に、ずうずうしくもお願いしますけれど・・・そうしないと図書館ではなかなかダメでしょう。

(司会)シャロンさん、本当に長い時間、ありがとうございました。ちょっと時間が足りなかったですね。

(参加者)ありがとうございました。


トップ << 開会挨拶 << 日本におけるサブジェクト・ライブラリアンの現状 >> サブジェクト・ライブラリアンについて(前半) >> (後半)