お知らせ
萩庭植物標本画像データ約5万点にDOIを付与しました
更新日: 2019-01-29 対象:全館/アカデミック・リンク・センター
「千葉大学学術成果リポジトリ CURATOR」で公開している萩庭植物標本画像データ51,819点にDOIを付与しました。日本の機関リポジトリにおいて、大規模に研究データへDOIが付与されたのは初めてです。
DOI(Digital Object Identifier)とは、電子的なコンテンツの国際的な識別子で、コンテンツへの永続的なアクセスが保たれるとともに、アクセスを容易にします。引用の際にDOIが明記されることで、根拠となる研究データを示したり、その研究データを引用している研究を探すことができます。
今回のDOI付与によって、萩庭植物標本画像の研究データとしての流通性を高めました。国立科学博物館の「標本・資料統合データベース」からもDOIを介してリンクすることを準備しています。
また、画像データの比較や加工、共有を容易に行うことができる国際規格IIIF(International Image Interoperability Framework)に準拠した画像も「千葉大学学術リソースコレクション c-arc」から公開することを予定しています。
「萩庭植物標本画像データベース」は、千葉大学名誉教授であった萩庭丈壽(HAGINIWA Joju, 1917-1996)が生涯にわたり採集・収集したさく葉標本のデータベースです。北海道、琉球、小笠原の各諸島を含む日本全国から台湾、タイなど海外の植物も採集しています。日本全土の顕花植物の約95%を含むと言われ、中にはすでに絶滅した植物・絶滅危惧種の植物が1000種余も含まれており(環境省レッドリスト2018による)、質・量ともに日本の自生顕花植物のさく葉標本として比類がないものです。
5万点を超える膨大な植物標本は、萩庭丈壽逝去後11年の歳月をかけて、ゐのはな山岳会有志を中心に結成された萩庭標本データベース作成協力会によって、標本の整理、デジタル写真撮影、標本ラベルのデータ入力、植物名・採取地名の補完などの作業が行われ、2002年の千葉大学薬学部ウェブサイトでの試験公開を経て、2008年にデータベースが完成しました。標本の現物は保存と研究のために、2005年に国立科学博物館へ移管されました。
その後、附属図書館が研究データとしてのメタデータを整備し、2012年に「千葉大学学術成果リポジトリ CURATOR」での公開を開始しました。このたび、DOIに加えて、再利用を円滑にするためのライセンス表示など、研究データとしてのメタデータ整備を進めています。
研究者が残した貴重な研究成果を受け継ぎ、学術情報資源として教育・研究に一層活用できるよう、千葉大学では整備を続けています。
(参考文献)
・千葉大学附属図書館『千葉大学学術成果リポジトリ CURATOR Letter』7号(千葉大学附属図書館,2012)
・萩庭標本データベース作成協力会編『萩庭標本データベース作成プロジェクト総括報告書』(萩庭標本データベース作成協力会,2008)
・萩庭標本データベース作成協力会編『萩庭さく葉標本目録』2000-1巻,2000-2巻(萩庭標本データベース作成協力会,2000)